糖尿病患者にとって、血糖値をコントロールするための自己測定は非常に重要です。現在行われている一般的な方法は、指先に針を刺して採取した微量の血液を測定器にかけるものですが、若干の痛みや皮膚の損傷を伴う採血を一日に何回も(場合によっては数時間おきに)繰り返すのは、患者にとって決して楽なものではありません。患者の苦痛を緩和し、日々の生活を快適なものにできるよう、血糖値測定のための新技術をめざして研究開発がなされています。
東京大学生産技術研究所・竹内 昌治准教授と許 允禎特任助教がAdvanced Health Materials誌に発表した総説は、体内に埋め込んだセンサで血糖値の常時モニタリングを可能にする「スマート・タトゥー」というコンセプトの実現に向けてのさまざまな技術の現状と課題を解説しています。低侵襲で患者の負担なく体内に埋め込めるセンサが実現すれば、いつでもどこでも苦痛なく血糖値の測定が可能となりますが、そのためには測定精度・生体適合性・耐久性などの面で求められる水準をクリアする必要があります。竹内研では、血糖値に応じて蛍光強度が変わるファイバ型のセンサを開発し、マウスを使った実験に成功しています。(リンク先は竹内研HP。動画も見られます) 糖尿病患者にとって福音となりそうなこの技術、実用化が待たれます。
■ 論文はこちら (本文を読むにはアクセス権が必要です)
⇒ Heo, Y. J. and Takeuchi, S. (2012), Towards Smart Tattoos: Implantable Biosensors for Continuous Glucose Monitoring. Advanced Healthcare Materials. doi: 10.1002/adhm.201200167
当ブログ記事は化学・物理・工学分野のワイリー・サイエンスカフェでご紹介したものと同様です。
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