この度The Cochrane Libraryに掲載されたシステマティック・レビューで、予防接種中に赤ちゃんに砂糖水を与えることで注射時の痛みが緩和される可能性があることが発表されました。
赤ちゃんは誕生から18ヶ月までの間、予防接種などで多くて15回も注射を受けることがあります。以前は子供や大人と同様に痛みを感じるか定かではありませんでしたが、最近のエビデンスによると赤ちゃんも痛みを感じることが判り、痛みを緩和するための麻酔クリーム、おしゃぶり、気を紛らわすグッズ(人形やガラガラ等)や音楽が利用されています。その代替手段として、赤ちゃんの口に注射器やスポイト等を用いて砂糖水を数滴垂らす方法に注目が高まっています。
砂糖は鎮痛効果のある体内の化学物質の生成を引き起こしたり、快適感を誘導することができる味覚受容体に働きかけることで痛みを緩和させるという仮説があります。
このシステマティック・レビューは痛み緩和における砂糖水の効果を取り上げた14件の研究をレビューし、生後1ヶ月から一歳までの計1551人の幼児を対象としています。ほとんどの研究は予防接種の2分前に砂糖水を与えた場合と、水を与えた場合を比較しています。全般的に水よりも砂糖水が与えられた幼児の方が泣いている時間が短いことが判りましたが、それぞれの研究で痛みの測定法が異なったり、甘味の強さも様々であったため、今後は砂糖水の最適な濃度、量、投与方法に注目して良質な試験からデータを取る必要があると結論づけられています。
プレスリリース原文(英語)
⇒Just a Spoonful: Sweet Taste Comforts Babies during Injections
Cochrane Library Review本文(英語)
*Abstract(抄録)は無料公開。レビューの全文を読むにはCochrane Libraryへのアクセス権が必要となります
⇒ Sweet-tasting solutions for needle-related procedural pain in infants one month to one year of age
Related posts: