緑黄色野菜や果物中の色素成分カロチノイドの摂取で、神経難病ALSの発症リスク低下の可能性

先日当ブログで「神経難病ALSとSMAに共通の病態メカニズム|理研などの共同研究グループが発見」で筋萎縮性側索硬化症(ALS)を取り上げましたが、この度ALSリスク低下に有効な食品を研究した調査結果がAnnals of Neurology誌で発表されました。

Intakes of vitamin C and carotenoids and risk of amyotrophic lateral sclerosis: Pooled results from 5 cohort studies
Kathryn C. Fitzgerald, Éilis J. O’Reilly, Elinor Fondell, Guido J. Falcone, Marjorie L. McCullough, Yikyung Park, Laurence N. Kolonel and Alberto Ascherio

*Abstract(抄録)は無料公開。全文を読むにはアクセス権が必要です

50~60歳代で多く発症する神経変性疾患であるALSの進行の一因は酸化ストレスによることが判っており、これまでの研究でビタミンEなどの抗酸化物質を多く摂取した人はALS罹患リスクが減少する効果が報告されています。今回の調査は、同様に抗酸化作用を持つ物質としてカロチノイドとビタミンCの有効性を確認するために、110万人以上の対象者、1,153人のALS死亡者を含む5件の前向きコホート研究で得られたデータを分析しました。その結果、色鮮やかな果物や野菜に含まれる天然色素であるカロチノイドの摂取量が多い人ほどALSリスクが低いことが分かり、カロチノイドを含む食品の摂取量を増やすことで、ALSの予防もしくは発症を遅らせることができる可能性を示唆しました。また、カロチノイドの中でも、濃緑色野菜に含まれるベータカロチンやルテインの効果は特に高いことが判りました。一方ビタミンC、リコピン、ベータクリプトキサンチンの効果は確認できませんでした。

著者の一人であるAlberto Ascherio氏は「摂取する食品がALSに及ぼす影響を理解することは重要であり、今回の研究はALS予防のための食品に含まれる抗酸化物質の役割を分析した、今までにない大規模な研究の一つであった。今後もさらに食品をベースとした分析が引き続き必要」と語っています。

プレスリリース原文
Eating Bright-Colored Fruits and Vegetables May Prevent or Delay ALS

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