血管性認知症の新しい治療方法|セレブロライシン投与による認知機能改善を示唆

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脳血管の損傷が原因でおきる血管性認知症は、アルツハイマー病に次いで多くみられる認知症の一つであり、素早い思考が難しくなるとともに、集中力・コミュニケーション能力の低下、発作や重度の錯乱等の症状を引き起こします。現在決定的な治療方法は見つかっていませんが、この度The Cochrane Libraryに掲載されたシステマティック・レビューで、アルツハイマー病薬「セレブロライシン」による薬物療法で認知機能が改善される可能性を示唆する結果が発表されました。

Cerebrolysin for vascular dementia
Ning Chen, Mi Yang, Jian Guo, Muke Zhou, Cairong Zhu, Li He
*Abstract(抄録)は無料公開。全文を読むにはアクセス権が必要です

セレブロライシンは、豚の脳の精製タンパク質から生成されたペプチド製剤であり、以前にもその効果が発表されていましたが、それぞれの報告に一貫性は見られませんでした。当レビューで、被験者597人を対象とする6件のランダム化対照試験のデータをメタ分析した結果、プラセボ対照群や他の治療を行った患者に比べ、セレブロライシンを投与した患者の認知機能が著しく改善していたことが判りました。

著者の一人であるLi He氏は「このレビューは、セレブロライシンは軽度から中度の血管性認知症患者の認知機能改善に有効であることを示唆し希望が持てるが、試験数が少ないことと、試験方法に一貫性がなく、またいくつかの試験では実施の過程でバイアスが生じていた可能性があるため、セレブロライシンを血管性認知症の通常の治療方法として薦めることはまだできない。また、目立った副作用はなくセレブロライシンは血管性認知症患者にとって安全であることが示唆されたが、静脈内注入が毎回必要であるため大規模に実施する治療法としては実用的ではないかも知れない」と語っています。

プレスリリース原文
Dementia: Cerebrolysin Shows Promise

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