多くの研究者や製薬メーカーの努力にもかかわらず、アルツハイマー型認知症の根本的治療薬は開発が難航しています。しかし近年になって、抗がん剤治療を受けて乳がんから回復した女性の間でアルツハイマー型認知症の発生が少ないという調査結果や、マウス実験で抗がん剤がアルツハイマー型認知症を好転させる効果が見られたという結果が報告され、抗がん剤が同認知症の治療ないしは予防・進行防止にも効果をもつのではないかという期待が高まっています。
フランス・地中海大学の医薬品化学者Jean-Louis Kraus教授は、このほどChemMedChem誌に発表したエッセイの中で主要な候補薬と今後の研究戦略の展望を論じています。特に脳腫瘍に使用する抗がん剤は神経保護作用を持つことから、アルツハイマー型認知症への効果も期待でき、有望な候補薬として優先的に研究するよう提案しています。
⇒ Kraus, J.-L. (2013), Therapeutic Links between Alzheimer’s Disease and Brain Cancer: Drug Discovery Consequences. ChemMedChem, 8: 689–692. doi: 10.1002/cmdc.201300006 (本文を読むにはアクセス権が必要です)
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