サプリとして飲用することでアトピー性湿疹の症状を改善すると言われていたイブニングプリムローズオイル、ボラージ(ボリジ)オイルですが、実際には効果が認められませんでした。このほどコクラン・ライブラリーに発表されたシステマティックレビューは、これまでの研究結果を総合的に分析した結果、そのように結論付けました。
⇒ Bamford JTM, Ray S, Musekiwa A, van Gool C, Humphreys R, Ernst E. Oral evening primrose oil and borage oil for eczema. Cochrane Database of Systematic Reviews 2013, Issue 4. Art. No.: CD004416. DOI: 10.1002/14651858.CD004416.pub2. (本文を読むにはアクセス権が必要です)
■ 発表資料 Cochrane Review Finds No Benefit of Evening Primrose Oil for Treating Eczema
アトピー性皮膚炎の治療には、一般にクリーム、軟膏、入浴剤、ステロイド薬、抗ヒスタミン剤などが使われます。しかし、副作用への懸念などから代替療法を好む人々の間では、マツヨイグサ(月見草)、ルリジサからそれぞれ抽出される植物油であるイブニングプリムローズオイルとボラージ(ボリジ)オイルを飲用するサプリメントに人気があります。サプリの製造業者らは、それらのオイルに多く含まれるγ-リノレン酸に治療効果があると主張しています。
今回発表されたシステマティックレビューでは、これらイブニングプリムローズオイルとボラージオイルのサプリ飲用によってアトピー性湿疹の症状が改善されるかどうかを検証するため、過去に行われた合計1,596人を被験者とする27例の研究結果を基に再分析が行われました。その結果、これらサプリの飲用者と、オリーブオイルなどのプラセボ(偽薬)の摂取者との間で症状の改善に統計的に有意な差は見られず、効果はないと結論されました。このレビューの筆頭著者である米ミネソタ大学メディカルスクールのJoel Bamford医師は、今回の結論には十分な客観的根拠があるため、今後さらに研究を継続する必要があるとは考えにくいとしています。
また、今回分析の対象となった研究では症例が報告されていませんが、イブニングプリムローズオイルには血液の凝固を防ぐ抗凝固作用があることが知られているため、血栓症治療に使われるワルファリンなどの抗凝固剤と併用すると、出血を引き起こす可能性があります。Bamford医師は、抗凝固剤として広く利用されているワルファリンの摂取者にとって、イブニングプリムローズオイルは出血を引き起こす原因物質となることを知っておく必要があるとして、消費者に注意を呼びかけています。
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