赤身肉を多く食べた人は少ししか食べなかった人より食道がん発症のリスクが40%高い可能性が示唆される

 Nutrition-Reviews-journal-cover牛肉・豚肉などの赤身肉の摂取は乳がん、前立腺がん、胃がん、結腸直腸がんのリスクを上げることが報告されていますが、食道がんについてはまだその関連性が明らかになっていませんでした。この度Nutrition Reviewに掲載されたシステマティックレビューによると、赤身肉の摂取が少なく、魚肉・鶏肉などの白身肉の摂取が多い方が食道がん発症のリスクが軽減される可能性があると発表されました。

Meat, fish, and esophageal cancer risk: a systematic review and dose-response meta-analysis
Maryam Salehi, Maziar Moradi-Lakeh, Mohhamad Hossein Salehi, Marziyeh Nojomi and Fariba Kolahdooz
*Abstract(抄録)は無料公開。全文を読むにはアクセス権が必要です

⇒プレスリリース Eating Fish and Cutting Red Meat Can Lower Cancer Risk by 40%

赤身肉はがんの危険因子とされている内因性ニトロソ化合物を含んでおり、また白身肉に比べて赤身肉は、消化管の上皮層をすり減らし、刺激することで細胞を損傷させるヘム鉄をより多く含んでいます。さらに、高温で肉を調理すると発がん性及び変異原性のあるヘテロサイクリックアミン及び多環式芳香族炭化水素が生成されることが知られています。

今回のシステマティックレビューではMedline, Embase, Web of Knowledge等の主なデータベースから1990-2011年の期間、肉類全般が0.99、赤身肉が1.40、加工肉が1.41、鶏肉が0.87、魚肉が0.80となり、赤身肉や加工肉を多く摂取した場合、摂取の最も少ないグループより食道がん発症のリスクが40%高まることが示唆されました。また、赤身肉を多く摂取すると食道偏平上皮がん(ESCC)のリスクが上昇し、加工肉を多く摂取すると食道腺がん(EAC)のリスクが上昇、そして魚肉の摂取が多いと食道がん(EC)のリスクが軽減されることを示唆する結果が判明しました。

今後は他の食事因子や逆流症、ヘリコバクターピロリ感染、遺伝的多型等の影響及び組織学的亜型や解剖学的亜部位の違いによる影響について研究する必要があると締めくくられています。

Related posts:

  1. 抗不整脈薬アミオダロンを多量使用した男性に発がんリスク上昇の可能性 - 台湾での調査結果がCancer誌で報告される
  2. 遺伝子変異により膀胱がんのリスク・再発・進行・患者生存を予測できる可能性を示唆
カテゴリー: 栄養学, 消化器病学, 腫瘍学   タグ:   この投稿のパーマリンク

コメントは受け付けていません。