出産後、へその緒(臍帯)を切る(結紮)タイミングを遅らせた方が赤ちゃんの血液及び鉄分状態が改善されることがこの度The Cochrane Libraryのシステマティック・レビューで発表されました。
⇒Effect of timing of umbilical cord clamping of term infants on maternal and neonatal outcomes
Susan J McDonald, Philippa Middleton, Therese Dowswell, Peter S Morris
*Abstract(抄録)は無料公開。全文を読むにはアクセス権が必要です
プレスリリース原文
⇒Later Cord Clamping After Birth Increases Iron Levels in Babies
多くの高所得国では、出産後一分以内にへその緒を切る(早期結紮)ことが標準とされていますが、早期結紮は母から子に供給される血液の量を減らしてしまい、赤ちゃんの鉄貯蔵に影響を与える可能性が示唆されています。一方で、出産後一分以上経過した後にへその緒を切る(遅延結紮)を行うことで新生児黄疸のリスクがわずかに上昇することも指摘されています。世界保健機関は現在、出産後1分から3分の間に臍帯結紮を行うことを推奨しています。
今回の調査では3,911名を含む15の試験データをレビューし、母子のヘモグロビン濃度を血中濃度と鉄濃度の指標として考察しました。遅延結紮による母体の出血、失血、ヘモグロビン濃度へのリスクに変化は見られない一方で、新生児にとってはいくつかの側面でより健康な状態であることが確認されました。早期結紮に比べ、遅延結紮を行った新生児は出産1-2日後のヘモグロビン濃度が高く、3-6ヶ月後の鉄欠乏の発生率が低く、また出生体重がより重いことが判明しました。
著者らは「ヘモグロビン濃度の上昇と鉄貯蔵量の増加の実証例が増えるにつれ、満期産児の臍帯の遅延結紮はより検討の範囲が広がってきている。遅延結紮は新生児黄疸が起きた場合に光線療法が行える環境であれば、有益な方法と思われる。」と締めくくっています。
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