夜更かし・徹夜など、睡眠リズムの乱れは肥満につながると言われます。高カロリーの夜食を食べてしまうせいもあるでしょうが、それだけでなく徹夜明けの日中にも、スナック菓子などの高カロリー食品を普段よりも多く食べてしまう傾向にあることが、行動実験を基にしたこれまでの研究で分かっているそうです。その原因として、睡眠不足の状態になると、食欲を増進させる働きを持つホルモン「グレリン」(ghrelin)が多く分泌されることを挙げる説があります。
スウェーデン・ウプサラ大学などの研究者によるグループは、睡眠とカロリー摂取との関係を探るため、徹夜明けの朝にスーパーで食品を購入する行動が普段とどう変わるかを確かめる実験を行い、その結果を肥満研究の専門誌Obesityで報告しました。
■ 論文はこちら ⇒ Chapman, C. D., Nilsson, E. K., Nilsson, V. C., Cedernaes, J., Rångtell, F. H., Vogel, H., Dickson, S. L., Broman, J.-E., Hogenkamp, P. S., Schiöth, H. B. and Benedict, C. (2013), Acute sleep deprivation increases food purchasing in men. Obesity. doi: 10.1002/oby.20579
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この実験では、標準体重の男性14人を被験者として、通常の昼夜リズムで生活した後に、特定の実験日に一晩徹夜してもらいました。徹夜明けの朝に、空腹の影響を避けるため朝食を摂った後、スーパーを模した店頭で、40品目の食品の中から約50ドルの予算内で好きなものを買ってもらいました。同グループは、そこでの購入品目を、同じ被験者らが睡眠を十分にとった普段の日に購入した品目と比較して、購入傾向に違いが生じたかどうかを調べました。40品目の食品には、果物・ヨーグルトといった低カロリー食品と、チョコバー・ポテトチップスなどの高カロリー食品が半分ずつ含まれていました。
その結果、徹夜後は普段よりも、カロリー換算で9%、重量換算で18%多い食品を購入しており、睡眠不足が高カロリー摂取につながる購買行動を促すことが改めて裏付けられました。また同時に実施した血液検査により、徹夜後は血液中のグレリン濃度が高まることも確認されました。しかし、結果をさらに細かく見ると、個々の被験者のグレリン濃度とその人の購買行動との間には相関が見られず、グレリン分泌の増加が購買行動に影響を与えるという因果関係を示す証拠は得られませんでした。
原因の解明は今後の研究を待つとして、当面は、睡眠不足のとき体は普段より高カロリーを求めてしまうらしいことを覚えておくと、買い物や食事の際に自分でブレーキをかけられ、肥満の防止に役立つかもしれません。
■ Wileyプレスリリース: Sleep Deprivation Increases Food Purchasing the Next Day
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