胎児が発育不足の状態で行う早期出産に対して、分娩の最善のタイミングを調べるための臨床試験が行われ、この度Ultrasound in Obstetrics & Gynecology誌でその予備段階の結果が発表されました。
胎児の発育が遅れている場合、医師は分娩のタイミングで悩まされることが多く、分娩を早くすると、胎児が未熟児として生まれることによるリスクにさらされる一方、分娩が遅いと子宮内での栄養と酸素が不足し、深刻な問題を及ぼす可能性があります。通常、早期出産の際の分娩のタイミングは新生児にとって最善と思われる時期を医師が判断しますが、参照できるような科学的研究結果が今まで提供されていませんでした。
そこで研究者らは分娩の最善のタイミングを特定するための研究プロジェクトTRUFFLE (Trial of Randomized Umbilical and Fetal Flow in Europe)を発足し、三つの患者グループを比較しました。一つのグループでは胎児の心拍をもとに、残りの二つのグループでは超音波ドップラー検査で計測した胎児の血管の変化をもとに分娩の時期が決定されました。最終的には生まれた新生児が2歳になった時点で神経学的状態を確認し、どちらの計測方法が最善か判断するとのことです。
それに先立つ予備調査として、TRUFFLEが行われた20のヨーロッパの機関で得られた、妊娠期間が32週以下かつ胎児の発育が遅れている女性503人のデータを分析したところ、重度の健康問題なく生き延びた新生児は70%、死亡は8%と、近年の報告よりもよい結果が得られました。なお、高血圧女性の方が胎児・新生児に問題が起きるリスクが高いことも判明しました。
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