痛みとその緩和に伴う信号を処理する脳機能の障害が繊維筋痛症患者の痛覚感受性を強めている可能性を示唆する研究がこの度Arthritis & Rheumatism誌で発表されました。
繊維筋痛症は慢性的な筋骨格症候群であり、広範囲の関節・筋肉痛、疲労、睡眠障害、認知障害を伴う疾患です。アメリカでは3.4%の女性及び0.5%の男性が繊維筋痛症を患っていると報告されており、加齢とともに確率が上がっています。
今回の調査では31名の繊維筋痛症患者と健常対照群14名が対象となり、機能的MRI(磁気共鳴画像法)による脳スキャンと同時に、カフ圧による痛みを伴う刺激を足に施しました。MRI測定中に参加者は痛みの始まりと緩和予期させる視覚的な合図を受けました。その結果、健常対照群では、痛みの始まりを予期している時と痛みを実際に感じている時に腹側被蓋野(VTA)と呼ばれる脳領域が活性化し、痛みの緩和を予期している時には逆に不活性化が認められたのに対して、繊維筋痛症患者ではそういった反応が鈍いことが判明しました。腹側被蓋野は、報酬と罰の予測に関わる信号を処理する脳領域だと考えられています。
当発見は繊維筋痛症患者の痛覚過敏、及びオピオイド等の鎮痛剤が効かない理由の解明に貢献する可能性があると筆頭著者のLoggia氏(マサチューセツ総合病院)は語っています。
⇒ Disrupted brain circuitry for pain-related reward/punishment in fibromyalgia
Marco L. Loggia, Chantal Berna, Jieun Kim, Christine M. Cahalan, Randy L. Gollub, Ajay D. Wasan, Richard E. Harris, Robert R. Edwards and Vitaly Napadow
*現在Accepted Articleとして校正前の採択された段階の論文が先行掲載されています。(抄録)は無料公開。全文を読むにはアクセス権が必要です
プレスリリース⇒ Pleasure and Pain Brain Signals Disrupted in Fibromyalgia Patients
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