外科医の多くは重大な外科合併症に遭遇した際に、精神的に深刻な動揺を受けるにも関わらず、所属機関のサポートが不十分だと感じているとの報告がこの度British Journal of Surgery (BJS)誌で発表されました。
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⇒ Surgical complications and their implications for surgeons’ well-being
A. Pinto, O. Faiz, C. Bicknell, C. Vincent
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プレスリリース⇒ Study Shows Surgeons Are Often Profoundly and Emotionally Affected By Surgical Complications
手術室では重大な合併症が起きるリスクが高く、患者及び医療関係者にとって深刻な結果をもたらす可能性がありますが、合併症に遭遇した外科医の反応や術後のサポートについてはあまり知られていません。手術ミスを犯した外科医はその後のQOL(生活の質)が低く、燃え尽き症候群やうつ病の症状を発症することが最近報告されています。このような高いレベルのストレスは、医療行為に悪影響を及ぼし、患者の安全性を脅かす危険性があり、外科医及びその家族にとって重要な問題です。
そこでインペリアルカレッジ・ロンドン付属病院の医師らによるグループは、外科合併症が外科医に及ぼす影響を探るため、個人及び仕事上でどのような影響を受けたか、また何が要因だったか、対処法、および所属機関のサポート体制についてどのように受け止めているかを調査しました。
ロンドンにある二つ大規模な医療機関に所属する27名の一般外科医・血管外科医のインタビューが行われました。その結果、合併症による影響は大きいことが判り、特に自己責任を感じている場合はより深刻であることが判明しました。全ての外科医が過去に少なくとも一回は、合併症が個人及び仕事上に大きな影響を及ぼしたと回答しており、その要因として合併症の回避、外科医の性格と経験、術後の患者の状態と反応、同僚の反応及び所属機関の文化が挙げられました。
外科医は概して所属機関のサポートは不十分であると感じており、合併症の影響をコントロールするために、指導の改善、チームワークの取組、責任追及にならず合併症への対処について議論できるような機会、合併症の人的な側面のサポートなどが提案されました。
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