災害支援活動を目的とする特定非営利活動法人、災害人道医療支援会(Humanitarian Medical Assistance-HuMA)が、東日本大震災の発生10日後約一週間にわたって行った医療援助について、HuMAの一員として参加していた看護師が自らの体験を記した論文がNursing & Health Sciences誌に発表されました。
看護師らは、被災地で機能を失った医療サービスを支援することを目的とし、宮城県南三陸町の5つの避難所で活動を行ったところ、二つの重要な問題が判明しました。一つは、糖尿病や高血圧など慢性疾患を患っている高齢の患者が多く、被害によって処方箋等を紛失してしまったため、薬剤投与の管理が非常に困難なことでした。もう一点は、避難所の規模の大きさによる違いです。体育館のように規模の大きい避難所では被災者は日常的にすることがなかったのに対し、小さい規模の避難所は被災者の中でそれぞれ役割分担ができているため、より機能していたことが判りました。
論文は、避難所における健康促進及び健康上のリスクの予防について考慮すべきであると同時に、各地方自治体の災害対策の一環として、慢性疾患を患っている患者の薬に対する意識を高めるための活動が必要であると締めくくっています。
Medical relief for the 2011 Japan earthquake: A nursing account
Satoko Mitani, Mayumi Kako, and Lidia Mayner
*Abstract(抄録)は無料公開。全文を読むにはアクセス権が必要です
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