神経難病ALSと自己免疫疾患MGの重複症例に幹細胞治療の効果が示唆される

筋萎縮性側索硬化症（ALS）と重症筋無力症（MG）の両方を患う患者が、米BrainStorm Cell Therapeutics社の成体幹細胞治療をHadassah Medical Center（イスラエル）で受けた結果、認知力・発話力・筋力が飛躍的に改善されたとの症例報告がMuscle & Nerve誌で発表されました。

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Rare combination of myasthenia and motor neuronopathy, responsive to Msc-Ntf stem cell therapy
Panayiota Petrou, Avizohar Argov, Vanda A. Lennon, et al.

ALSは、運動神経細胞の病変により全身の筋肉がまひする神経変性疾患で、非常に進行の早い疾患です。MGは運動神経と筋肉のつなぎ目（神経筋接合部）に存在する神経伝達物質（アセチルコリン受容体）が自己抗体により攻撃される自己免疫疾患です。

患者はALSとMGを患っていたため、ALSに対するHadassa臨床試験の対象となりませんでしたが、倫理委員会の承認を経て、特別にMSC-NTF幹細胞治療が行われることになりました。患者の骨髄から摂取されたMSC-NTFが髄腔内に投与され、右上腕 24ヶ所に筋肉注射されました。投与後2日間に渡り、微熱、頭痛、錯乱が見られましたが、その後完全に治まりました。

入院当初は車椅子生活で、構音障害により発話が全く理解できない状態でしたが、治療の一か月後には20メートルの補助なし歩行が可能になり、また、明確な発話ができるようになりました。5か月経過後、認知力が落ちてきたため、再度治療を行ったところ、再び神経機能全般が飛躍的に改善されました。

ALSとMGの合併は稀であり、幹細胞治療の有効性はまだ立証されませんが、同病院が行っているALS患者24名が参加している臨床試験の結果からより確実なデータを得て引き続き調査が行われるとのことです。

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