<論文紹介> グルコサミン・サプリは膝関節痛の治療・緩和に効果なし|米医学誌で報告

Arthritis & Rheumatology多くの高齢者を悩ませる膝の痛みの主な原因は、加齢に伴って膝の軟骨がすり減ることによって起こる関節炎(変形性膝関節症)です。この変形性膝関節症は、米国では25歳以上の成人中2,700万人の患者がいると言われ、高齢者に歩行障害をもたらす深刻な問題となっています。その治療や症状緩和に効果があるとされる「グルコサミン」のサプリメント(サプリ)は各国で人気が高く、日本でも多くの愛用者がいます。

ところが、このほど米国で行われた臨床試験では、グルコサミン・サプリの摂取は膝関節炎に対して全く効果が認められませんでした。この結果は、米国リウマチ学会(American College of Rheumatology)の公式誌Arthritis & Rheumatologyの2014年4月号で報告されました。

supplementグルコサミン(グルコサミン塩酸塩)は関節軟骨を構成する主成分で、摂取によって変形性膝関節症の症状を改善すると期待され、日本を含む各国でサプリメントとして広く販売されています。

米ピッツバーグ大学などの研究グループは、膝軟骨および膝骨髄の損傷に対するグルコサミン・サプリの摂取の効果を確かめる初めての臨床試験を実施しました。この臨床試験には軽~中度の膝関節炎患者201人が参加、二重盲検法によって各患者に1500 mg/日のグルコサミン塩酸塩またはプラセボ(偽薬)のいずれかをレモネード・ドリンクとともに24週間にわたって投与し、経過を観察しました。

その結果、グルコサミンを投与されたグループとプラセボを投与された対照群との間で、膝軟骨および膝骨髄の損傷の進行に違いは見られませんでした。また、軟骨破壊の指標となる尿中のⅡ型コラーゲンCTX-Ⅱの量も、グルコサミン摂取による減少効果は確認されませんでした。この論文の筆頭著者であるDr. Kwohは「われわれの研究では、グルコサミンのサプリメント飲用が、慢性的な膝の痛みを持つ人に対して膝軟骨の損傷軽減・痛みの緩和・機能回復といった効果を示すという証拠は見られなかった」と語っています。

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