コクラン共同計画がインフルエンザ治療薬タミフルの効果は限定的とのシステマティック・レビューを公開、使用指針の見直しを求めてBMJと共同声明を発表

medicine医療行為の有効性をエビデンスに基づいて評価し情報提供する国際的非営利団体The Cochrane Collaboration(コクラン共同計画)は本日(2014年4月10日)、インフルエンザ治療薬タミフルの有効性を限定的とする内容のシステマティック・レビュー(コクラン・レビュー)を公開しました。コクラン共同計画はそれに基づき、British Medical Journal(イギリス医師会雑誌)の出版元であるBMJと共同で、各国政府および医療政策関係者に向けて、タミフルの使用指針を最新のエビデンスに基づいて見直すよう求める声明を発表しました。

オセルタミビル(商品名タミフル)はインフルエンザの症状軽減および予防に効果があるとされ、日本を含む世界各国で広く処方されるとともに、流行時に備えて大量の備蓄が行われています。その有効性についてのエビデンスを得るため、オックスフォード大のCarl Heneghan博士らのグループは、タミフルの製造元であるロシュ社からこれまで未公開だった臨床試験データを新たに入手して分析を行いました。同グループはその結果に基づき、タミフルを含むノイラミニダーゼ阻害薬のインフルエンザ予防・治療効果に関するシステマティック・レビューの改訂版を本日発表しました。

それによると、成人のインフルエンザ感染者のうちタミフルを投与されたグループは、プラシーボ(偽薬)を投与されたグループと比べて発症期間が0.7日(7日→6.3日)短縮される一方、未成年の感染者では有意な効果が見られませんでした。また、インフルエンザ感染から入院に至ったり肺炎などの合併症につながるリスクについては、タミフル服用によって軽減できるとのエビデンスを見い出せませんでした。一方、副作用として吐き気・嘔吐を起こすリスクが成人で約4%、子どもでは約5%あることが分かりました。予防目的でタミフルを服用した人が精神症状を示すリスクは約1%で、一部のタミフル服用者に抗体産生能力の低下が見られたことも指摘されています。

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