若者に迫る「カフェイン依存症」のリスク / 甘いコーヒー・紅茶やエナジードリンクからのカフェイン摂取増に専門家が警鐘 (Addiction誌)

コーヒー好きの人が「私はカフェイン中毒で」などと冗談半分に言うことは珍しくないかもしれません。しかし最近では、特に若者の間で「カフェイン依存症」が深刻な問題になりつつあることを、英国の学会 Society for the Study of Addiction (SSA) の公式誌 Addiction で専門家が指摘しています。

米ダートマス大学医学部 (Geisel School of Medicine at Dartmouth) の精神科医 Alan J. Budney教授らが同誌の Editorial(巻頭言)として寄稿した記事によると、カフェインの依存性については専門家の間でも意見が分かれています。アメリカ精神医学会による精神障害診断マニュアル DSM-5 (2013) は、caffeine withdrawal (カフェイン禁断症状)を正式な疾患として取り上げるとともに、caffeine use disorder (カフェイン使用障害)をSection III (研究中)に分類しています。その一方で、一部の専門家はカフェイン依存症を他の依存症や精神障害と同列に扱うことに否定的です。

その上でBudney教授らは、たとえ成人には問題のないカフェイン摂取量であっても、未成年者には問題を引き起こす可能性があるとして、若者の間で目立つカフェイン摂取の増加に警鐘を鳴らしています。最近の統計によると、米国の18歳未満の子どものうち75%が、毎日何らかの形でカフェインを摂取しています。従来、若者・子どもの主なカフェイン摂取源となっていたのはソフトドリンクでしたが、1999年以降、コーヒー・紅茶からのカフェイン摂取が倍増し、砂糖やキャラメル、クリームなどで甘くしたコーヒー・紅茶の流行が原因とみられています。また最近若者に人気の、多量のカフェインを含むエナジードリンクや、スナック菓子やグミなどにカフェインを添加した製品の増加も新たな懸念材料になっています。

未成年者のカフェイン依存による健康への悪影響は、さまざまな形で表れます。13歳の子どもがカフェインの禁断症状を訴えた例が報告されているほか、不安・焦燥感、多動性、睡眠障害といった症状を招くことがあります。さらに、糖分の多いカフェイン入り飲料を多量に摂取することで食生活が悪化し肥満につながったり、たばこやアルコールのような他の依存性物質の摂取増を招くといった、間接的な害も指摘されています。同教授らは、カフェインが若者の健康に与える影響についての研究を急ぐとともに、商品への警告表示や販売規制、啓蒙キャンペーンなどの対策を強化する必要性を訴えています。

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