「重症筋無力症の新しい診断・治療」総説特集をClinical and Experimental Neuroimmunologyにて無料公開中

Myasthenia Gravis Present and Future日本神経免疫学会の英文誌Clinical and Experimental Neuroimmunologyの2015年初号(第6巻1号)が出版されました。当号は重症筋無力症を解説した総説を4編掲載しています。全ての論文にどなたでも無料でアクセス頂けますので、この機会に是非ご覧ください。
本誌のManaging editorである村井弘之先生(九州大学大学院医学研究院 神経内科学 准教授)から当号のご紹介頂きましたので本文と併せてご一読ください。

  無料公開中  
Clinical and Experimental Neuroimmunology 第6巻1号

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Clinical and Experimental Neuroimmunology 6巻1号冊子体の刊行に寄せて:
重症筋無力症の新しい診断・治療をめざして

Managing Editor 村井 弘之

6巻1号ではFocused Review Seriesとして “Myasthenia Gravis: Present and Future”を企画いたしました。重症筋無力症(Myasthenia gravis, MG)はおおむね解明された、という内容の発言を往々耳にしますが、それは大きな誤解です。第一は診断に関してです。病原性自己抗体や反復刺激試験が陽性と出ればMGの診断は容易ですが、これらが陰性であった場合、診断は途端に難しくなります。このためMGであってもMGと診断されず、その結果治療を受ける機会を失っている患者さんが少なくありません。診断基準を論ずるとき、false negativeはfalse positiveよりも罪が大きいと私が思うのは、そのような理由によります。第二は治療に関する点です。これからのMGの治療戦略は生活の質(Quality of Life, QOL)を考慮したものでなければなりません。MGの生命予後を大きく改善した経口ステロイド大量投与は評価されるべき治療法ですが、これがQOLの低下をもたらしている現状も考慮して新しい治療戦略を練る必要があります。MGでは新規自己抗体の発見も相次いでいます。今回の特集が読者にとってMGの診療を考え直すきっかけになれば、これは望外の喜びです。

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