日本老年医学会の公式英文誌、Geriatrics & Gerontology International から老年医学研究の最新レビューを13編掲載した特集号が出版されました。
Guest Editorの遠藤玉夫先生(東京都健康長寿医療センター研究所 副所長)より、下記ご紹介頂きましたので是非ご一読ください。
無料公開中 ⇒ Comprehensive Gerontological Approach for the Next Stage: Health and Medicine
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我が国はすでに高齢社会が進行しており、世界を見渡しても高齢化の波は急速に押し寄せている。一歩先を行く高齢化先進国である我が国は、高齢社会の抱える課題に対する回答を諸外国に伝える責務がある。
東京都健康長寿医療センターは1972年に開設され、高齢者医学・医療あるいは老年学の研究領域において数多くの実績をあげてきた我が国を代表する施設である。センターは2009年に病院と研究所が一体化するかたちで地方独立行政法人となり、2013年には新病院・新研究所を建設、新たな環境と最新の設備の下、以前に増す活発な診療、研究活動を展開している。
当センターは病院と研究所を併設する複合施設であるという特性を生かし、連携作業を活発に展開し診療や研究に取り組んでいる。すでに高齢社会が進行しつつある今日、当センターが担うべき諸課題は山積しているが、私たちの強みは、基礎医学、薬学、生物学といった自然科学の研究者のみでなく、疫学、心理学、福祉学、認知科学、看護学、医療経済学など社会科学の分野の研究者、さらに病院の医師、看護師、薬剤師、コメディカルなど多職種も加わった学際的研究を活発に展開しているところにある。こうした長所を生かして基礎研究、応用研究を進めることにより、高齢社会の課題解明につながる総合力を発揮したい。
最近得られた研究成果の一部をGeriatrics & Gerontology Internationalの特集号としてここに刊行した。内容を簡単に紹介すると、老化や老化関連疾患マーカーに関する研究、老化、がん、糖尿病などとテロメアとの関係、アルツハイマー病など認知症疾患やアトピー性皮膚炎、フレイル予防、世代間交流による社会参加の効果、サルコペニア予防や認知症総合支援、終末期ケアのあり方に関する研究、など多岐にわたるテーマを取り上げた。本特集号をお読みいただき、当センターにおける研究についてご批判やコメントを賜れれば幸いである。
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