東邦大学医学部の元准教授で麻酔科医の藤井善隆氏による論文捏造問題がメディアで広く報じられ、長期にわたる空前規模の研究不正事件として麻酔学界のみならず各方面に衝撃を与えています。藤井氏は、手術後の嘔吐を抑制するためにグラニセトロンを使用した場合の効能と副作用について、臨床試験を基にしたとする論文を多数発表しましたが、その多くに捏造の疑いが持たれ、約200報の論文の少なくとも半数が近く撤回される見通しです。
英国・アイルランド麻酔科医協会(The Association of Anaesthetists of Great Britain and Ireland)の公式誌であるAnaesthesia誌は、Editorialでこの問題を再三取り上げるとともに、英国のJ. B. Carlisle医師が藤井氏のデータを統計的に再分析した論文(データが藤井氏の論文のような分布を示すことは現実的にありえないと断じた)を発表しました。同誌では、それらの記事・論文と併せて、同誌の編集委員会によるステートメントや、論文捏造・研究不正問題一般に関する文献へのリンクをまとめた特集ページを公開しています。
⇒ Anaesthesia - Special Collection: Research Misconduct
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