日本先天異常学会の英文誌より発達神経毒性研究の特集号を出版

Congenital Anomalies cover日本先天異常学会の公式英文誌Congenital Anomaliesから、発達神経毒性研究をテーマとした特集号が出版されました。
副編集長の青山先生(一般財団法人 残留農薬研究所 毒性部長)により下記ご紹介いただきましたので、是非ご一読ください。

当特集号には2012年12月31日まで無料でアクセス頂けます
Special Issue: Developmental Neurotoxicity Testing

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残留農薬研究所 青山先生によるご紹介

日本先天異常学会が発刊する学術雑誌Congenital Anomaliesの最新号(9月号)では,様々な化合物の発達神経毒性(Developmental Neurotoxicity, DNT)に焦点を当て,このような毒性を検出する試験法開発の歴史,推奨される標準的試験法,新たな評価法の確立に向けた提言などに関する総説3報を掲載いたしました。これらの総説は,昨年開催された第51回日本先天異常学会学術集会におけるDNTシンポジウム(Developmental Neurotoxicity Testing: Scientific Approaches Towards the Next Generation to protect the Developing Nervous System of Children)で講演された演者の先生方が,発達神経毒性評価の基本技術と最新の研究動向について解説くださったものです。
 特集では,辻良三先生に,OECD(経済協力開発機構)およびUSEPA(米国環境保護庁)が推奨する標準的な発達神経毒性試験法(DNT test guideline)に関して,それらの概要と相違点,ガイドライン制定に至る歴史的経緯,ガイドラインに沿った試験の実務などについて,先生の研究室で実施された試験のデータを基に,企業研究者の立場から詳しく解説いただきました。ついで,桑形麻樹子先生には,胎児標本を用いた発達神経毒性評価法について,先生ご自身の研究成果を基にアカデミアの視点から解説いただきました。これらの評価法は,ガイドラインとして推奨される試験法とは異なるものの,より短期間で被験物質の発達神経毒性を正確に評価することができるものと考えられます。最後に,様々な化合物を規制する立場にあるUSEPAのKevin M Crofton先生から,ガイドライン試験の結果に基づくリスク評価と規制の現状と共に,より簡便で迅速な手法による新たな評価体制の確立に向けて,いくつかの提言をいただきました。
 これらの総説は,産官学それぞれの立場から発達神経毒性研究の最前線を紹介したものであり,今後の規制動向や研究の方向性についても詳細に解説されていることから,この分野の研究に興味を持つ研究者にとって有益な情報に溢れていると思われます。是非ご一読いただけましたら幸いです。

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