これまでクランベリーやクランベリージュースは尿路感染症の予防に効果があるとされ、長らく利用されてきましたが、この度The Cochrane Libraryに掲載されたシステマティック・レビューで、クランベリージュースは膀胱・腎感染症の予防におそらく効果がないと発表されました。
最新のエビデンスを基に分析したところ、ほとんどその有効性が見いだせず、たとえ効果があったとしても小さく、また再発性尿路感染症を患う女性患者にしか有効でないだろうとのことです。
クランベリージュースが尿路感染症にどのような作用を及ぼすのかははっきり判っていませんが、一説ではクランベリーに含まれている特定の糖類やフラボノール類が、尿道細胞に細菌が付着しないよう抑制する作用があると言われており、これまでもその効果について複数のレビューがThe Cochrane Libraryに掲載されてきました。前回の2008年のレビューでは再発性尿路感染症を患う女性患者に若干の効果があるとの結論でした。
今回のレビューでは、前回のレビューから新たに14件の研究を追加し、計4,473名の患者を含む24件の研究からエビデンスが集約されました。治療群に入っている患者にはクランベリージュース・タブレット・カプセルなどが処方され、対照群にはプラシーボ、水、馬尿酸メテナミン、抗生物質、乳酸菌の処方、または何も処方されませんでした。追加された研究を含めた結果を分析したところ、前回のレビューで示唆された結果よりもクランベリージュースの効果が少ないことが判りました。また、効果を発揮するためには、長期間にわたり毎日クランベリージュースを二杯飲む必要があります。今回のレビューをまとめた研究者たちは、最新のエビデンスによると尿路感染症の予防手段としてのクランベリージュースの有効性は支持されないと結論付けています。
筆頭著者のRuth Jepson女史は「ほとんどの研究が、クランベリージュースの効果はたとえあっても微小と示唆しており、また飲用者の脱落率も高いため、今後もその効果を調査する必要はないと思われる。タブレットやカプセルなど他のクランベリー製品の研究は行われてもよいと思うが、それは再発性尿路感染症を患う女性患者に限り、十分な活性成分が含まれていることを前提とする」と語っています。
プレスリリース原文(英語)
⇒Cranberry Juice Now Unlikely to Prevent Cystitis
Cochrane Library Review本文(英語)
*Abstract(抄録)は無料公開。レビューの全文を読むにはCochrane Libraryへのアクセス権が必要となります
⇒Cranberries for preventing urinary tract infections
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