不斉合成の研究における業績を理由に2001年ノーベル化学賞を野依良治・Barry Sharpless両博士と共同受賞し、今年6月に死去されたウィリアム・ノールズ(William Knowles)博士の追悼記事が、Angewandte Chemie International Editionに掲載されました。博士が研究員として勤めたモンサント社の元同僚たちの手によるもので、博士の研究業績と人となりを伝える充実した記事となっています。
⇒ Ager, D., Chan, A., Laneman, S. and Talley, J. (2012), William Standish Knowles (1917–2012). Angew. Chem. Int. Ed.. doi: 10.1002/anie.201205394 (本文を読むにはアクセス権が必要です)
海辺の町で海に親しんで育った若き日のノールズ博士は、ハーバード大学への進学を前に、帆船で米国からヨーロッパに渡航を試みました。終着地のストックホルムの前に経由したエストニアでは、逮捕される目にも遭ったそうです。追悼記事は、”His return to Stockholm many years later certainly saw a different form of travel and no arrest.”(ずっと後になって彼は(ノーベル賞受賞のために)再びストックホルムを訪れることになるが、前回とは違う形での旅行となり、今度は逮捕されることもなかった)とユーモラスに書いています。