炭素-水素結合の直接官能基化に関する研究が世界的に活発化しており、論文の数も急増しています。この技術を生物活性物質などの複雑な化合物の合成に応用することは現在も容易ではありませんが、将来的にはパワフルな合成ツールになるものとして期待されています。
名古屋大学大学院理学研究科・山口潤一郎准教授および伊丹健一郎教授らは、炭素-水素結合直接官能基化を用いた生物活性物質の合成に関するこれまでの成果をレビューし、Angewandte Chemie International Editionに総説として発表しました。過去に炭素-水素結合直接官能基化によって合成された天然物および医薬品のほとんどすべてを取り上げて論じ、約50ページに及ぶきわめて包括的な総説となっています。
この総説は、Wiley-VCHと欧州の16化学会の連合体ChemPubSoc Europeによる化学ニュースサイトChemistry Viewsで、注目論文として本日紹介されました。
⇒ Chemistry Views - C–H Bond Functionalization
元の総説論文はこちらです。(本文を読むにはアクセス権が必要です)
⇒ Yamaguchi, J., Yamaguchi, A. D. and Itami, K. (2012), C-H Bond Functionalization: Emerging Synthetic Tools for Natural Products and Pharmaceuticals. Angew. Chem. Int. Ed.. doi: 10.1002/anie.201201666