ドイツのCaRLa(ハイデルベルク大の触媒研究所)とBASF社を中心とする研究グループは、ニッケル系触媒を使って、CO2とエチレンから、アクリレートの一種であるアクリル酸ナトリウムを合成することに成功しました。CO2とエチレンなどのアルケンからアクリレートを触媒的に合成した例としては、今回が初めてになります。この成果は、Chemistry - A European Journalに論文として発表されました。
⇒ Lejkowski, M. L., Lindner, R., Kageyama, T., Bódizs, G. É., Plessow, P. N., Müller, I. B., Schäfer, A., Rominger, F., Hofmann, P., Futter, C., Schunk, S. A. and Limbach, M. (2012), The First Catalytic Synthesis of an Acrylate from CO2 and an Alkene—A Rational Approach. Chem. Eur. J.. doi: 10.1002/chem.201201757 (本文を読むにはアクセス権が必要です)
温室効果ガスとして問題視されるCO2を炭素原料として利用できれば非常に魅力的で、多くの研究者が課題として様々な合成反応に取り組んでいます。しかし、CO2を原料とする合成反応は技術的な難度が高く、現段階ではごく限られた用途にしか実現していません。今回合成に成功したアクリル酸ナトリウムは、アクリレートの中で最も工業的価値が高く、身近なところでは紙おむつの高吸水性ポリマーや保冷剤の原料として広く使われています。今回の成果は、学術的価値とともにに実用的な有用性も高く、今後の合成プロセスの最適化に向けての重要な出発点になることが期待されます。
この研究成果は、化学ニュースサイトChemistry Viewsでも紹介されています。
⇒ Chemistry Views - Renewable Sources for Disposable Diapers?