中国・蘭州大学(Lanzhou University)のYong-Qiang Tu教授らによる研究グループは、HIV-1プロテアーゼ阻害活性を持つジデムナケタールA(didemnaketal A)の全合成に初めて成功し、その成果をAngewandte Chemie International Editionに発表しました。
⇒ Zhang, F.-M., Peng, L., Li, H., Ma, A.-J., Peng, J.-B., Guo, J.-J., Yang, D., Hou, S.-H., Tu, Y.-Q. and Kitching, W. (2012), Total Synthesis of the Nominal Didemnaketal A . Angew. Chem. Int. Ed.. doi: 10.1002/anie.201203406 (本文を読むにはアクセス権が必要です)
約20年前にFaulknerらによってホヤから単離、構造決定されたジデムナケタールAは、多くの化学者の取り組みにもかかわらず、これまでに合成されたのはその部分構造に限られていました。今回、Tu教授らの研究グループは、31ステップでジデムナケタールAの全合成を達成しました。
しかし、今回合成された試料の1H および13C NMR スペクトルは、Faulknerらによって報告された天然物のデータと部分的に一致しませんでした。Faulknerらが決定した立体構造に修正を要する可能性があり、今後の研究が待たれます。