飛行機に乗るのを怖がっている人を、「飛行機は一番安全な乗り物だから」と励ます言い方はよく耳にしますが、実際に裏付けとなるデータを見たことはありますか。もしかしたら、ただの都市伝説? 英国王立統計学会(the Royal Statistical Society), 米国統計学会(the American Statistical Association)とWiley-BlackwellによるウェブマガジンSignificanceの最近の記事では、さまざまな乗り物の安全性を統計データで検証しています。
⇒ Sky-high? Your risks when taking a freefall
乗り物の安全性は、乗車(搭乗)時の事故による死亡率で比較することができますが、この死亡率が一義的に決まらないのが厄介なところです。(1)乗車一回あたり (2)乗車時間あたり (3)輸送距離あたり と、どれを分母にするかによって3通りの死亡率が導かれるからです。記事中の表にもあるように、 飛行機は輸送距離あたりで見ると、10億kmにつき死亡0.05人と、最も低い死亡率を示しています。しかしこれは、飛行機は一回の搭乗で非常に長距離の移動になるためで、代わりに搭乗回数を基準にすると、10億回の搭乗につき117人の死亡となり、バス(4.3人)や鉄道(20人)に比べてかなり危険度が高い乗り物だということになります。このように、何を基準に置くかで乗り物の死亡率とその順位は大きく変わりますが、バスと鉄道は3つの基準によるランキングでいずれも死亡率が最も低い部類に入っているので、安全な乗り物だと言ってよさそうです。一方、徒歩(Foot)や自転車は低速なので安全に思えますが、統計的には移動手段としてかなり危険なもののようですね。
3つのランキングすべてで、飛行機を含む他の乗り物に大差をつけて最も高い死亡率を示しているのがバイク(Motorcycle)です。上の記事では、今月14日にオーストリア人のバウムガルトナーさんが高度39,000mからのスカイダイビングに成功し、高度・速度とも新記録を樹立したことにちなんで、一般的なスカイダイビングとバイクの死亡率を比較しています。それによると、スカイダイビングの死亡事故は150,000回につき1回とされていて、これは10億回のダイビングにつき6,700人の死亡に相当します。それに対し、バイクは10億回の乗車に対して1,640人の死亡なので、「スカイダイビングはバイクの約4倍危険」という計算になります。意外に差が小さいように思えますが、スカイダイビングはそれほど危険ではないということなのか、バイクがそれだけ危険なのか、どう見ますか?