John Wiley & Sons社(以下Wiley)は、ジャーナル出版の分野で広がりつつある「オープンアクセス」(以下OA)の動きに対する論文著者の考えを知るため、2011年中にWileyのジャーナルで論文を出版した10万4千人を対象に、今年5月、質問票による大規模な調査を実施しました。10.3%にあたる10,673人から回答が得られ、その結果がこのほど公表されました。(OAの定義は複数ありますが、この調査では「著者・所属機関または研究助成団体の費用負担によって、誰でも無料で論文の閲覧・ダウンロード・共有が可能な状態にあること」をOAと定義しています。)
自分の研究分野で3年前と比べてOAの普及が進んだと考える回答者は、79%に達しました。また回答者のうち、過去に実際にOAで論文を出版した経験を持つ人は32%でした。そのような著者の分野別の内訳を見ると、最も多かったのは医学(28%)、次いで生物学(24%)でした。
一方、まだOA出版の経験のない著者にその理由を聞いたところ、「著名なOAジャーナルがない」(48%)、「出版費用の助成が受けられない」(44%)、「クオリティに不安がある」(34%)などが上位に挙げられました。また、OAジャーナルで論文を出版してもいいと思えるようになるための条件を聞いた質問に対して上位に挙がった回答は、そのOAジャーナルが高いインパクトファクターを持つこと、周囲から高い評価を受けるようになること、厳格な査読プロセスを備えることなどでした。
これらの調査結果について、Wileyのオープンアクセス担当役員Rachel Burleyは、「OAという出版モデルが論文著者に受け入れられつつあるのは明らかで、そのことはWileyのOA出版プログラムが成長していることによっても裏付けられている」と語るとともに、今回の結果は、OAジャーナルが著者のニーズに応えるためには、厳格な査読・国際的な広がり・質へのこだわりが求められていることを示したと述べています。
■ 今回の調査結果についての詳細は、下のリンク先のプレスリリース(英語)をご覧下さい。
Press Release: What Authors Want From Open Access Publishing