稀に見る接戦が伝えられるアメリカ大統領選挙が、いよいよ注目の投票日を迎えました。ニュースなどでご存知の通り、大統領選挙は、州ごとに1票でも多く取った側が、その州に割り当てられた「選挙人」を総取りし、最終的に獲得した選挙人の総数で勝敗を決するという独特の形になっています。この制度の下で、最小の得票数で大統領に当選できる「最も割のいい勝ち方」では、どれだけの得票が必要になるでしょうか? 英国王立統計学会(the Royal Statistical Society), 米国統計学会(the American Statistical Association)とWiley-BlackwellによるウェブマガジンSignificance Magazineが、前回2008年選挙の各州投票数を基に検証しています。
⇒ Winning the White House (the easy way)
単純に考えると「50%以上」と言いたいところですが、もちろんそんなに簡単な話ではありません。日本の国政選挙で「一票の格差」が問題になるのと同じように、米国でも各州の有権者数と選挙人の数は正確に比例していません。今回の試算では有権者数ではなく2008年選挙での投票数を用いますが、例えば投票数254,658のワイオミング州と490,275のモンタナ州には、同じ数の選挙人3人が割り当てられています。ワイオミング州の1選挙人あたり投票数は約8万5千票で、一票の価値が全国一「重い」のに対し、モンタナ州の一票はその約半分の重みしかありません。最小の得票で当選する方法を探すには、一票の価値が重い州から順に取っていき、獲得した選挙人が過半数(270人)に達するポイントを探せばいいわけです。(これは数学でいう「ナップサック問題」の例なのだそうです)
この方法で計算した結果、「最も割のいい勝ち方」では、たった21.8%の得票率で過半数の選挙人を獲得することが可能と分かったそうです。78%も得票して負けた側は、泣くに泣けませんね。