<論文紹介> 顔に貼ってまばたきから発電できる超柔軟性圧電ナノジェネレーター|韓国の研究グループが開発に成功、マイクロ・ナノ医療機器などへの応用に期待

発電と聞くと、発電所や太陽光パネルなど大きなサイズの設備を思い浮かべるのが普通でしょうが、その一方で、極小サイズの発電装置の開発に向けても活発な研究がなされています。マイクロマシン/ナノマシンを駆動するための電力供給装置がそれで、その中でも圧力や振動などの機械的なエネルギーを電気エネルギーに変換する「圧電ナノジェネレーター」(piezoelectric nanogenerator)に高い期待が寄せられています。

このほどAdvanced Fucntional Materials誌に発表された論文で、韓国の研究グループは、極薄のアルミ箔や酸化亜鉛のナノワイヤーなどを材料として、超柔軟性を備えた圧電ナノジェネレーターの開発に成功したと報告しました。実験では、旗の布に貼り付けて扇風機で微風を当てたり、絆創膏のように顔の皮膚上に貼り付けることで、旗の振動やまばたきによる皮膚の伸縮に反応して電気を起こせることが確認されました。5mm x 13mmという、通常の絆創膏よりもはるかに小さなナノジェネレーターで、まばたきによって0.2V・2nAの微量電流が発生しました。

超柔軟性をもつナノジェネレーターは、身に付けていても違和感がなく、また皮膚の動きや呼吸などわずかな運動から発電できるため、心臓の鼓動をチェックするセンサーのようなマイクロ/ナノサイズの医療機器などへの応用の広がりが期待できます。これまでにも超柔軟性ナノジェネレーターの開発に成功した例は報告されていましたが、製造コストの高さが障害になっていたとのことで、アルミ箔と酸化亜鉛という廉価な材料による今回のナノジェネレーターは、実用化に向けて弾みをつけるものとなりそうです。

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 ⇒ Lee, S., Bae, S.-H., Lin, L., Yang, Y., Park, C., Kim, S.-W., Cha, S. N., Kim, H., Park, Y. J. and Wang, Z. L. (2012), Super-Flexible Nanogenerator for Energy Harvesting from Gentle Wind and as an Active Deformation Sensor. Adv. Funct. Mater.. doi: 10.1002/adfm.201202867

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