ドイツのマックスプランク・コロイド表面研究所と日本の物質・材料研究機構(NIMS)の研究者からなるグループは、インクジェットプリンタと紙を使って、グラフェンのナノ構造体を任意のパターンで形成する方法を開発し、その成果をAngewandte Chemie International Editionで報告しました。
⇒ Glatzel, S., Schnepp, Z. and Giordano, C. (2013), From Paper to Structured Carbon Electrodes by Inkjet Printing . Angew. Chem. Int. Ed.. doi: 10.1002/anie.201207693 (本文を読むにはアクセス権が必要です)
同グループは、プリンタのインクカートリッジに、本来のインクの代わりに硝酸鉄(Ⅲ)の水溶液を投入、これでセルロース紙に線画の模様を印刷した後、窒素ガス流中で800℃に加熱しました。その結果、紙全体は無定形炭素になったのに対し、印刷した模様の部分は浮き彫りのような外見になり、分析の結果グラファイト状炭素で覆われた炭化鉄粒子とグラフェンシートとの複合体に変化したことが確認されました。印刷箇所は、他の部分(無定形炭素)に比べて30倍の高い導電率を示しました。また加熱後に、印刷した模様に沿って銅めっきを施すことができることも確かめられました。(上の画像)
この方法が実用化されれば、ありふれた装置・材料を使って複雑な形状の電極を短時間で作ることが可能になるため、マイクロエレクトロニクスへの応用が期待されます。
■ この論文の内容は、化学ニュースサイトChemistry Viewsでも紹介されています。
⇒ Chemistry Views - Printing Electrodes