知っておきたい「論文のSEO対策」 - 自分の論文を検索エンジンで上位表示させるための、タイトル・アブストラクトへのちょっとした工夫

「検索エンジン最適化」(Search Engine Optimization = SEO)という言葉をご存知でしょうか。商業サイトを中心に、自分のサイトを検索で上位にヒットさせるために、検索エンジンのアルゴリズムを利用するさまざまなテクニックが使われていて、それらがSEO対策と呼ばれます。

それでは、「論文のSEO対策」とはどういうものでしょうか? 学術論文では、何より内容と、適切な読者層を持つジャーナルで発表することが重要で、商業サイトのようにSEO対策に手間暇をかける必要はないでしょう。それでも、自分の論文が検索エンジンユーザーの目に留まるチャンスを高めることは有益です。タイトルを付けたりアブストラクト(抄録)を書いたりする時のちょっとした工夫で、自分の論文がGoogleなどで検索結果の上位に表示されるようになれば、それによって潜在的な読者を掘り起し、ひいては引用を増やすことができるかもしれません。

Wiley-Blackwellの著者向け情報サイトAuthorServisesでは、論文を書く際に覚えておきたいSEO対策のコツを紹介しています。
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この記事が挙げるコツの一つ目は、明確で内容をよく表すタイトルを付けることです。検索エンジンは、タイトルに含まれる単語に、本文に含まれるだけの単語よりも高いウェイトを置いて評価します。読者の立場に立って、自分の論文が扱う主題を検索するとしたらどんな検索ワードを使うか想像してみて、その単語を確実にタイトルに含めるようにするといいでしょう。一方、論文の中には”The Broken Mirror”のように比喩的・抽象的なタイトルが付いたものもありますが、このようなタイトルはSEOの観点から見てどうでしょうか。紙の雑誌で目次に載っていれば、その分野の文脈から”Broken Mirror”が何を意味するか容易に推測できるかもしれませんが、検索エンジン上では、「鏡」を通販で買おうとする人の目にしか触れない可能性があります。

二つ目のポイントは、論文タイトル中の重要な単語・フレーズをアブストラクトでも繰り返すことです。ページ内で複数回繰り返される単語やフレーズは、検索エンジンから高く評価される可能性があります。いろんな単語・フレーズを散りばめるのではなく、キーになる3つか4つの単語やフレーズを絞り込んで、それらを複数回含めるとよいでしょう。しかし、やり過ぎると逆に検索エンジンから拒否されてしまうかもしれませんから、ほどほどに抑える必要があります。本来、アブストラクトは検索ロボットではなく人間の読者に読んでもらうためのものですから、人がスムーズに読めるように配慮して書きましょう。

※ 上のリンク先記事には、タイトル・アブストラクトの良い例・悪い例も示されていますので、ぜひご参照下さい。

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