「論文査読者のための倫理ガイドライン」が公開される - 出版倫理の問題を扱う非営利団体COPEが制定

出版倫理に関わる問題について協議・勧告を行う非営利団体The Committee on Publication Ethics (COPE)は、このほど論文査読者が順守すべき基本的な倫理ガイドラインとして「COPE Ethical Guidelines for Peer Reviewers」を新たに発表しました。
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1997年に結成されたCOPEは、学術雑誌のエディターら出版関係者7千人以上を会員とする世界規模の団体に成長し、Wiley-Blackwellをはじめとする主要な学術出版社が運営に参加しています。COPEは、査読者が学術出版において非常に重要な役割を担っているにも関わらず、査読者としての倫理的義務を学ぶ機会に恵まれないことが多い現状への懸念から、今回の倫理ガイドラインの制定を決めたとのことです。

ガイドラインに書かれているのは、「守秘義務を守る」「客観的で明確な査読レポートを書く」といった常識的な事項がほとんどで、経験豊かな査読者であれば納得できることばかりだろうと思います。また、査読に合意して論文を受け取った後で利害関係の存在に気づいたり、事情により期日が守れなくなった場合など「直ちにジャーナル(編集部)に知らせよ」とされている事項がいくつも含まれています。このことは、査読の過程で何らかの疑問や問題が発生した時は、査読者が自分の中で抱え込まず、速やかにエディターに相談することの重要性を示しています。また中には、「論文を読んでみたいだけで、レポートを書く気もないのに査読に応じるな」とか「査読者自身の論文の引用を増やすだけの狙いでレファレンスへの追加を要求するな」といった項目もあり、実際にそういう行為をする査読者の存在が伺われます。

全体として、査読にあたって踏まえるべき倫理上のポイントが簡潔にまとめられていますので、院生・学生への指導用に読ませたり、経験ある査読者がこれまでのやり方をチェックするといった使い方に役立ちそうです。ぜひご活用下さい。

■ 参考記事: 査読で悩む人は必読! 化学ジャーナル編集長が教える「論文査読・12のポイント」

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