電子ジャーナルで論文を読むのには慣れていても、画面にいろいろ付いている怪しげな(?)ボタンやリンクにほとんど触らないという方は、意外と多いのではないでしょうか。確かに、一目見ただけでは何のための機能か分からなかったりして、手を出しにくいかもしれません。しかし、使ってみれば役立つ機能を知らないままでいるのはもったいない、ということで、Wileyの電子ジャーナルサイトWiley Online Libraryの隠れたイチ押し機能をご紹介します。
面白い論文を見つけて、「この論文はどのくらい引用されているのだろう」とか「これを引用している関連論文を見たい」と思うことはありませんか。文献の引用関係を調べるための代表的なデータベースとしてトムソン・ロイターのWeb of Scienceがあり、これを普段からお使いの方も多いことと思います。しかし、所属機関でWeb of Scienceを契約していなかったり、あるいはわざわざWeb of Scienceに移動せずに手早く調べたいという場合もあるでしょう。そんなとき、Wiley Online LibraryのCited Byが便利です。
1. 下の画面例は、Angewandte Chemie International Edition (ACIE)に載った、Phil Baran研による天然物パラウアミンの全合成を報告する化学論文です。(内容はChem-Stationさんで詳しく解説されています。) この論文に興味を持ったので、引用状況を見てみたいという場合は、画面のCited Byタブをクリックして下さい。 → 自分で試したい場合はこちら (この論文は無料公開の対象なので、どこでもお読みいただけます)
2. “This article has been cited by”の下に、この論文を引用した論文が一覧表示されます。このリストには、Wiley Online Library中の論文(= Wileyのジャーナルに載った論文)はもちろん、他の出版社のジャーナルの論文も入っています。どうしてそんなことが可能かというと、出版社の枠を越えて電子文献を相互リンクするために多くの学術出版社が参加している取り組みCrossRefのデータを利用しているためです。4千強の出版社・学協会が参加しているCrossRefによって、皆さんが普段からおなじみの出版社・ジャーナルはほぼ例外なくカバーされていますので、重要な引用論文が漏れて困るということはまずないはずです。
3. リスト中の論文を見て行くと、Wiley Online Libraryのアイコンが付いているものと、アイコンの代わりにCrossRefというリンク*が付いたものがあります。(*ご所属機関のネットワーク設定によって表示が異なる場合があります)CrossRefは、Wiley以外のCrossRef参加出版社のサイトへのリンクで、例えば10.のCrossRefリンクをクリックすると、ACSのJournal of Natural Products中の該当論文に直接アクセスできます。
4. Cited Byに関連して覚えておきたいのが、この論文が新たに引用されたとき、メールで自動的に通知してくれるCitation Alert(被引用アラート)機能です。Cited Byと同様に、WileyだけでなくCrossRef参加のどの出版社のジャーナルで引用されても、もれなく通知を受けることができます。自分の研究に関連が深い注目論文で、新しい引用論文を常にチェックしておきたいときや、あるいは自分の論文がWileyのジャーナルに載ったときなどに、Citation Alertの配信を登録しておくと便利です。この機能を使うには、Wiley Online Libraryで簡単なユーザー登録が必要です(登録の方法はこちら)。登録したメールアドレスと指定したパスワードでログインしてから、画面右のGet Citation Alertsをクリックします。(クリックしても一見何も起こらないようですが、表示がGet Citation AlertsからCitation Alert Added to My Profileに変われば大丈夫です)
いかがですか? 電子ジャーナルならではの便利な機能を、この機会にぜひお試し下さい。