羽毛恐竜ミクロラプトルは魚も食べていた|新発見の化石に痕跡、従来の定説を修正

1990年代以降、中国を中心に羽毛を持つ恐竜の化石が次々と見つかり、古生物学に大きな進歩をもたらしています。その中のひとつ、小型の羽毛恐竜ミクロラプトルの一種で飛行用の4枚の翼をもつミクロラプトル・グイ(Microraptor gui)は、これまでの化石記録から、樹上生活を営み鳥や小動物を捕食していたと考えられていました。

ところが、このほど新たに発掘されたミクロラプトル・グイの化石から、魚を食べていた痕跡が見つかりました。ミクロラプトルの生態についての理解を大きく変えるこの発見を、カナダ・アルバータ大学を中心とする研究グループがEvolution誌で報告しています。

 ⇒ Xing, L., Persons, W. S., Bell, P. R., Xu, X., Zhang, J., Miyashita, T., Wang, F. and Currie, P. J. (2013), PISCIVORY IN THE FEATHERED DINOSAUR MICRORAPTOR. Evolution. doi: 10.1111/evo.12119
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■ 参考: Fish Was On the Menu for Early Flying Dinosaur (ScienceDaily, Apr. 22, 2013)

今回研究の対象となったのは、中国北東部・遼寧省のJehol層群で発見されたQM V1002と呼ばれる化石で、ミクロラプトル・グイの全身をほぼ完全な状態で残している学術上貴重なものです。過去に見つかったミクロラプトル・グイの化石では、消化器官に鳥やリスのような小動物の骨が残っていたため、それらを樹上で捕まえて食べていたと推定されていました。しかし今回の化石からは、魚の骨だけが未消化で見つかりました。また、ミクロラプトル・グイの歯の形状は、肉を切り裂くよりもツルツルすべる魚を突き刺すのに適していて、ワニなど他の魚食生物の歯の特徴に合致することも確認されました。

この化石が発見された場所は、当時は森に囲まれ淡水湖があったと推定されています。研究者らは、ミクロラプトルは肉か魚のどちらか一方だけを食べていたのではなく、その時々に身近にいる獲物をこだわりなく捕まえて食べていたと考えています。羽毛恐竜が魚を餌にしていた証拠が見つかったのは今回が初めてのことで、今後、羽毛恐竜の生態の解明につながることが期待されます。

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