<論文紹介> カリッと焼いたピザが好きな人は注意! 冷凍のハム・サラミピザを指定の時間以上に焼くと、発がん性物質ヘテロサイクリックアミンが増加

クリスピーに焼けた生地、ほんのり焦げ目がついたトッピングのチーズ - ピザは生焼けよりもしっかり焼いたほうが好きな人は多いと思いますが、健康面を考えると焼きすぎは控えたほうが良さそうです。

焦げた肉が体に悪いと言われるのは、発がん性物質であるヘテロサイクリックアミンが多く含まれるためです。ドイツ・ホーエンハイム大学の研究グループは、焼き上がったピザに含まれるヘテロサイクリックアミン(MeIQx, 4,8-DiMeIQxなど)の量が焼き方によってどう変化するかを、ハムとサラミがトッピングに乗った冷凍ピザを使って実験し、その結果をJournal of Food Science誌で報告しました。

 ⇒ Gibis, M. and Weiss, J. (2013), Formation of Heterocyclic Amines in Salami and Ham Pizza Toppings During Baking of Frozen Pizza. Journal of Food Science. doi: 10.1111/1750-3841.12121
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230℃のオーブンで、焼き時間15分と書かれたピザを指定通りに焼いたところ、トッピングのハムから検出されたヘテロサイクリックアミンの量はMeIQxが0.3 ng/g、4,8-DiMeIQxが0.8 ng/gでしたが、焼き時間を18分に延ばすと、それぞれ1.8 ng/g、1.6 ng/gと大幅に増加しました。同じ傾向はサラミでも見られ、焼き時間15分では検出限界以下だったMeIQxが、焼き時間18分では2.6 ng/gに増えていました。一方、ピザを試食して味を比較する官能試験の参加者からは、香りとクリスピーさの面で18分間焼いた方がおいしいと評価されました。

見た目や味を考えると悩ましいところですが、パッケージに書かれた焼き時間や温度の指定をきちんと守るほうが健康には良いみたいですね。

■ この論文の内容は、化学ニュースサイトChemistry Viewsで紹介されています。
 ⇒ Crispy Ham and Salami Pizzas Hide Dangerous Substances (May 08, 2013, Chemistry Views)

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