海洋研究開発機構の海洋・極限環境生物圏領域の出口 茂チームリーダーらの研究チームは、油をナノサイズの油滴として水に分散させた「ナノエマルション」を10秒以内という短時間で生成することに成功、その成果をAngewandte Chemie International Edition (ACIE)で報告しました。
同研究チームは、深海の熱水噴出孔から噴出される高温・高圧の水が、ところによって「超臨界状態」とよばれる極限状態になり油と自由に混ざり合う特異な性質を示すことと、熱水が冷たい深海水によって瞬時に冷やされることにヒントを得ました。熱水噴出孔周辺の温度・圧力環境を実験室内で再現可能な装置を開発し、油と超臨界水の均一溶液を室温にまで急激に冷却することにより、ナノ油滴が水に分散したナノエマルションを生成することに成功しました。この方法は、化粧品、食品、医薬品など、エマルションを必要とする様々な産業分野での利用が期待されています。詳しくは下のプレスリリースをご覧下さい。
★ 海洋研究開発機構のプレスリリース (2013年5月14日)
□ ACIEに掲載された論文はこちら ⇒ Deguchi, S. and Ifuku, N. (2013), Bottom-Up Formation of Dodecane-in-Water Nanoemulsions from Hydrothermal Homogeneous Solutions . Angew. Chem. Int. Ed.. doi: 10.1002/anie.201301403 (本文を読むにはアクセス権が必要です)
■ この成果は、化学ニュースサイトChemistry Viewsでも紹介されました。
⇒ Mixing Water and Oil: A Magic Process (Chemistry Views, May 15, 2013)