イワシなどの青魚に多く含まれるオメガ3脂肪酸は、心臓病などのリスクを低下させる効果があると言われ、積極的な摂取が推奨されています。日本と比べて魚を食べることの少ない欧米諸国では特にオメガ3脂肪酸が不足しがちなので、サプリメントによる摂取のほか、日常的に食べる食品への添加にも関心が高まっていますが、食品への添加には困難がつきまといました。オメガ3脂肪酸は本来は無臭ですが、空気中の酸素に触れるとすぐに酸化し、魚特有の生臭さを発するようになるためです。
ドイツのフラウンホーファー協会に属するプロセス工学・パッケージング研究所Fraunhofer Institute for Process Engineering and Packaging IVVは、エマルション(乳化)によってオメガ3脂肪酸を安定化させ、酸化を遅らせる特別な加工法の開発に成功しました。同研究所から技術協力を受けた国内のスーパーEDEKAは、オメガ3脂肪酸を添加したソーセージを4月中旬に発売しました。発売されたのはバイエルン風ホワイトソーセージ、ミートローフ、パプリカ入りソーセージなど9品目です。元々の肉の脂肪分を魚油で置き換えたため、オメガ3脂肪酸を多く含みながら全体の脂肪量は通常の製品より低く抑えられ、しかもおいしさは通常製品と変わらないとのことです。
ソーセージの本場ドイツの消費者がこの新製品にどのように反応するか、注目されます。日本でも、食生活の欧米化に伴ってオメガ3脂肪酸の摂取量は減少傾向にあると言われています。消費者の健康志向に応えるこういった製品が、日本でも今後普及するかもしれません。
- 化学ニュースサイトChemistry Viewsの記事 ⇒ Bring More Omega-3 Fatty Acids to Foods (Chemistry Views, May 19, 2013)
- フラウンホーファー協会の発表資料 ⇒ Method developed for adding omega-3 fatty acids to foods (Press Release May 13, 2013)