先に当ブログの記事でお知らせしたように、今週からAngewandte Chemie International edition (ACIE), Advanced MaterialsなどWileyの一部ジャーナルで、論文のソーシャル・インパクトを示すAltmetric scoreの試験導入が始まりました。それに合わせて、スコアの提供元であるAltmetric社のブログ記事Interactions: Science Through an Altmetrics Lens では、Wileyの雑誌に掲載された3報の論文を例にとって、それぞれのAltmetric scoreからどんなことが分かるかを解説しています。
一つ目の例は、ノーベル化学賞が純粋な意味での化学者以外に授与される傾向が高まっていることについて1981年の受賞者Roald Hoffmann教授がコメントしたACIEのEditorial“What, Another Nobel Prize in Chemistry to a Nonchemist?”です。本日現在で81という非常に高いスコアを獲得しているこの記事は、スコアの内訳を見ると各国の科学者や化学誌のアカウントによって多くツイートされた(日本発のツイートがかなり目立ちますね)ことが分かります。さらに、Blogタブをクリックすると、このEditorialについてさらに深く論じたブログ記事を読むことができます。
また、三つ目の例に挙げられているAdvanced Materials誌の論文は、生物の運動線毛をヒントに開発された、生物付着による汚れを除去できる材料表面を報告するものです。スコアの内訳を見ると、この論文は全くツイートされておらず、Facebookでも一回言及されているだけです。にもかかわらずこの論文が56という高いスコアを得ているのは、専門性の高いニュースサイトやブログで取り上げられたためです。Altmetric scoreの計算上、これらのサイトは一般ユーザーのツイートよりも高い比重が与えられていて、少ない回数でも高スコアにつながります。
目に留まった論文があれば、Altmetricを通じてツイートやブログでどのようにコメントされたかを辿ると、他の読者による新しい視点を知ることができ、さらに理解が深まるかもしれません。