ナノ科学・ナノテクの専門誌Smallからこのほど発行された2013年5月27日号(Volume 9, Issue 9-10)は、Nanotoxicology(ナノ毒性学)をテーマとする特集号です。
■ 目次 Table of Contents
□ 巻頭言 Filling Knowledge Gaps that Distinguish the Safety Profiles of Nano versus Bulk Materials (巻頭言は無料公開。それ以外の収録論文の本文を読むにはアクセス権が必要です)
ディーゼル排気などによる大気中の浮遊微粒子「PM2.5」への懸念が高まっていますが、私たちの周りには、大気汚染物質だけでなくさまざまな形でナノ粒子が入り込んでいます。「銀イオンの力で消臭」といった宣伝コピーに代表されるように、生活に身近な製品にナノテクの応用が進み、抗菌・消臭スプレーや化粧品、衣料品、空気清浄器、塗料など多様な製品にナノ粒子が使われるようになっています。
そういった製品は私たちの生活を便利で快適なものにしてくれる一方で、ナノ粒子は同じ材料でも大きなサイズのときとは異なる挙動・性質を示すため、健康や環境へのリスクに対する特段の注意が必要です。こうした背景から、ナノ粒子を対象にした「ナノ毒性学」の必要性が高まっています。
Small誌の今回の特集号は、グラフェン、カーボンナノチューブ(CNT)などカーボンナノ材料や金・銀のような金属ナノ粒子などさまざまな材料を取り上げ、それらの毒性・安全性を多角的に論じる約40報の論文を収録しています。注目が高まるナノ毒性学の、現在の到達点と今後の方向性を示す内容となっています。