当ブログでも何度かお伝えしてきた通り、日本化学会の英文誌The Chemical Recordで、東北大学で活躍した有機化学者 故・野副鉄男博士(右写真)が残した、世界の化学者との交流を伝える1200頁のサイン帳を復刻する企画が進行中です。この企画を記念して、生前の野副博士をよく知るコロンビア大学の中西香爾教授が、博士の思い出と残されたサインの背景を語るエッセイを同誌に寄稿しています。
⇒ Nakanishi, K. (2013), Tetsuo Nozoe’s “Autograph Books by Chemists 1953–1994”: An Essay. Chem Record. doi: 10.1002/tcr.201300007 (本文を読むにはアクセス権が必要です)
中西教授は、1963年に野副博士に招かれて東北大学に移り、そこで6年間の研究生活を送りました。野副博士が退官し、中西教授が1969年にコロンビア大学に移った後も二人の親しい関係は続きました。今回のエッセイには、中西教授がサイン帳に綴ったユーモアあふれるコメントや、中西教授のニューヨークのご自宅に野副博士を迎えた際に教授のお子様が描いたイラストなどが採録されています。また、野副博士と内外の化学者との交流を記録した貴重な写真やサインの背景が、生前の博士と間近で接した中西教授によって語られます。サイン帳のサイドリーディングとして役立つ、貴重なエッセイです。
■ 野副教授のサイン帳の復刻は、The Chemical Record誌の2012年10月号以降の各号に連載されているほか、特設サイト(無料公開)でもご覧いただけます。