「著者が語るWiley新刊」第5回は、独立行政法人 物質・材料研究機構 主幹研究員の中西 尚志先生に、最新の編書Supramolecular Soft Matter: Applications in Materials and Organic Electronics をご紹介いただきます。
Supramolecular Soft Matter: Applications in Materials and Organic Electronics
Takashi Nakanishi
ISBN: 978-0-470-55974-1
Hardcover / 508 pages / September 2011
価格 US$125.00
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分子自己組織化を基盤技術とする超分子性ソフト材料は、次世代有機材料としてエレクトロニクス分野、触媒、センサー、燃料・太陽電池ほか、さまざまな用途への応用が期待されています。“超分子”とは、分子間で働く比較的弱い相互作用(水素結合、配位結合、静電相互作用、ファン・デル・ワールス相互作用、疎水性相互作用、π-π相互作用など)を介した分子の集合構造を一般的に表します。これまでの多くの研究は、溶液中で展開される分子の会合挙動に特化したものが主流でしたが、近年は材料的観点から、固体状態や液晶、ゲル、薄膜状での分子集合構造に由来する機能開発へと発展してきました。特に分子エレクトロニクスの分野では、機能性分子コアを意図する配列構造に集合させ、キャリア(電荷やホール)移動に最適化された構造材料の創製のほか、有機材料ならではの光や熱、電場など刺激に応答するソフト構造材料の開発が盛んに取り組まれています。
本書では、超分子性ソフト材料の織りなす構造やモルフォロジーに由来する特殊な機能やエレクトロニクス応用に挑戦するさまざまな物質系、特に近年の最新研究成果を基に解説されています。本書は、22章のチャプターを8編に分類、508ページから構成されており、日本の新進気鋭の若手研究者、世界各国の著名な超分子材料研究者らが執筆しており、さらには東大の相田卓三教授とドイツのDirk Kurth教授にCommentaryとして、今後の本分野の展望に関してご意見いただいています。
中西 尚志 博士(工学)
主幹研究員
物質・材料研究機構
高分子材料ユニット 有機材料グループ