何を言っているのかよく分からないタイトルになってしまいましたが、こういうことです。米ノースカロライナ大学の研究グループは、液体金属の小滴を積み重ねて、自立可能な立体構造を作り出すことに成功し、その成果をAdvanced Materials誌で報告しました。(ターミネーターはさすがに大げさで、人間サイズではなく高さ1 cmに満たない小さなものですが。) そのタワー型構造の画像を、下のリンク先ページで見ることができます。
⇒ Ladd, C., So, J.-H., Muth, J. and Dickey, M. D. (2013), 3D Printing of Free Standing Liquid Metal Microstructures. Adv. Mater.. doi: 10.1002/adma.201301400 (論文の本文も、2013年8月9日まで無料公開されていて、自由にお読みいただけます。)
同グループが使った液体金属は、ガリウムとインジウムの合金で、融点が15.7℃と低いため、常温では水銀と同じように液体となります(水銀と違って無害)。この液体金属を小滴の形で射出して、団子のように積み重ねていくと、上のリンク先にあるような立体構造が出来上がります。
しかし、仮に水滴であれば、2つが接すると表面張力によって1つにまとまってしまい、積み重ねたりすることはできません。実はこの液体金属は、空気に触れた瞬間に、表面に酸化ガリウムの薄い皮膜を作る性質を持ちます。厚さ1 nm以下というこの極薄の皮膜によって、2つの小滴が接しても元の形が保たれます。
もう一つの問題は、小滴を正確に積み重ねる細かい作業をどうやって行うかという点です。手作業ではとても無理なこの工程で活躍するのが、最近流行の「3Dプリンター」です。製作の過程がYouTubeで公開されていますので、ご覧下さい。
この液体金属は導電性を持つため、同グループでは「ストレッチャブル」(伸縮可能)な電子部品などへの応用を検討しているそうです。
■ 参考: 材料科学ニュースサイトMaterials Viewsの解説記事 ⇒ Room temperature liquid metal structures- free article access (July 9, 2013, materials Views)
なおこの論文に対しては公開直後からネット上での反響が大きく、ツイッターやブログ、科学ニュースサイトなどで盛んに取り上げられています。上のリンク先の論文ページ上でロゴににマウスオーバーしてからポップアップ画面中の”See more details”をクリックすると、そういったツイート・ニュース記事などを読むことができますので、ぜひお試し下さい。(参考記事)