Biotechnology Journal中のセクションBiotecVisionsに毎号連載されてきたコラム“Getting Published”では、学術誌のエディターをはじめ英語論文の書き方に関する専門家が、毎回特定のテーマを取り上げて論文執筆のコツを伝授しています。当ブログでもこれまでに次のような記事で随時ご紹介し、毎回ご好評をいただいてきました。
- だれもが悩む英語の難問 - “The”を付ける、付けない?
- 論文を書くときの順序、どうしていますか? AbstractやIntroductionを後回しにする、この方法がおすすめ
- 論文を書くとき毎回悩む人に朗報 - 最難関「Discussion」は、こう書けば大丈夫
- 良い「総説」を書くためのコツ|査読者はこのポイントに注目する
この度、その”Getting Published”の全過去記事が一覧できる「まとめページ」が公開されました。見逃していた記事のチェックにお使い下さい。
★ まとめページ BiotecVisions: Getting Published
さまざまな視点からの記事のうち、私たち日本人にとって特に役立つのは、英語の正しい用法・表記法に関する記事ではないでしょうか。例えば、表題で例に挙げた「ダッシュとハイフンの使い分け」(Dashes and hyphens: Lions and lambs?) などいかがでしょう。そもそも、この2つが全く同じものと思っている人も少なくないのでは? 長めの “-” がダッシュ、短めの “-” がハイフンですが、では「20から40℃の間」のように範囲を示すときに使うのは、どちらが正しいでしょうか? また、non, anti, bi, preといった接頭辞の後にはハイフンを付けないのが原則ですが(例: 「準結晶」は × quasi-crystal → 〇 quasicrystal)、例外的にハイフンを付けた方がいいのはどういう場合でしょうか? 正解は、リンクから記事をお読みいただくと分かります。
また、「セミコロンとコロンの使い方」(The (semi)colon: Death of the lastdinosaurs?) もためになります。セミコロン(;)とコロン(:)、見かけはほとんどそっくりですが、セミコロンは関連のある前後の文をソフトにつなぐ(「ピリオドとコンマの中間」と言われる)のに対し、コロンは後にくる文・節を強調したり、何かを列挙したりするときに使います。実際の記事では具体的な用例が示されていますので、ご覧下さい。
「擬人化を避けよ」(Avoiding anthropomorphism) も、日本人には気づきにくいポイントを指摘しています。例えばこの記事の中では、Table 1 summarizes the results… という文が挙げられています。論文中にこの表現が出てきても、何の疑問もなく読み流してしまいそうですが、人間ではない”table”が”summarize”できるわけがないので、代わりに The results are summarized in Table 1 のように書くのが正しいそうです。言われてみればなるほど、という感じですね。
これらを含めて一つ一つの記事は簡潔で、短時間で読めますので、上のまとめページをブックマークしておいて、ちょっとした空き時間に読んでいくといいですね。
★ なお”Getting Published”は、今後の連載の場をWiley Life Sciences Blogに移すことになりました。引き続きご愛読下さい。