Eur JICから「反応性金属錯体による小分子活性化」特集号 - 穏和な条件での窒素固定など注目のトピックを扱う論文を集める

European Journal of Inorganic ChemistryEuropean Journal of Inorganic Chemistry (Eur JIC) の最新号 Volume 2013, Issue 22-23 は、“Small-Molecule Activation by Reactive Metal Complexes”(反応性金属錯体による小分子活性化)についての特集号です。

窒素・二酸化炭素など、他の分子と反応しにくい不活性な小分子の活性化は、現代の化学にとって大きなテーマのひとつとなっています。そうした中で、小分子の活性化反応を引き起こす性質を持つ金属錯体が近年次々と発見され、ホットな研究分野として注目が集まっています。

例えば、農業用肥料などの原料として欠かせないアンモニアを空気中の窒素分子から工業的に生産する「ハーバー・ボッシュ法」は、現在の世界人口を支える食料生産を可能にした画期的な成果ですが、高温・高圧下で反応を進行させるために大量の電力を消費する点が問題になっています。そのため、ハーバー・ボッシュ法に代わって、不活性な窒素分子をアンモニアなどに変換する「窒素固定」を穏和な条件下で実現することは、化学の大きな課題となっています。ここで役割を果たすと期待されているのが、金属錯体です。

eurjic_backcover金属錯体による窒素固定は、今回の特集号でも複数の論文が主題として取り上げています。そのひとつ、ニオブ錯体を用いた窒素固定化反応に関する論文の著者である東京工業大学の川口 博之教授は、2007年にACIE VIPに選ばれた窒素固定化に関する論文をはじめ、金属錯体による小分子活性化反応の研究で成果を上げてきた研究者です。川口教授の今回の論文は、本号の裏表紙に採用されています。(右の画像)

この特集号では、窒素分子以外にもさまざまな小分子の活性化を取り上げた約40報の総説・原著論文を掲載しています。関連分野の研究に取り組んでいる方は、ぜひ逃さずチェックして下さい。

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