<新刊紹介> 海洋微生物由来の有用な生物活性物質とその応用可能性を多角的に論じる”Marine Microbiology” (8月刊行)

Marine MicrobiologyMarine Microbiology: Bioactive Compounds and Biotechnological Applications
Se-Kwon Kim (Editor)
 ISBN: 978-3-527-33327-1
 Hardcover / 580 pages / August 2013
 US $215.00

メインの表題だけ見ると生物学の本のように思える本書ですが、中を見ると海洋微生物に由来する有用な生物活性物質について解説しており、化学の側に近く寄った内容となっています。

温度・水圧・酸・アルカリなどの面できわめて多様で過酷な環境が存在する海中に生息する海洋微生物は、地上の生物には見られない豊かな多様性を示します。陸生の微生物からの生物活性物質の探索が既にかなり進んだことから、未開拓の余地が大きい海洋微生物が次のターゲットとして注目されるようになり、医薬品や化粧品などに利用できる新規な生物活性物質が多数埋もれた「宝の山」として活発な研究が行われています。中でも日本のような海洋国は、研究を進めるうえで有利な立場にあることから、特に積極的に研究に取り組んでいます。

marine本書は、放線菌・古細菌・シアノバクテリア・藻類などの海洋微生物が生物活性物質を作り出す仕組みを解説するとともに、それらから得られる多様な化合物と応用可能性について、27の章で多角的に論じています。一般的な微生物学の本とは異なり、全体を通して医薬品候補などとしての有用性に注目する視点から書かれているのが本書の特徴です。創薬・天然物化学・バイオテクノロジーなどの分野に産学両界で関わる読者におすすめします。

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