Nanomachines: Fundamentals and Applications
Joseph Wang
ISBN: 978-3-527-33120-8
Paperback / 160 pages / August 2013
US $55.00
ナノサイズの微小な機械「ナノマシン」の概念を提唱したのは、米国の物理学者リチャード・ファインマンによる1959年の講演が最初だと言われています。その後、1966年公開のSF映画「ミクロの決死圏」では、ミクロ化された医師たちが潜航艇に乗って患者の体内で治療を行う姿が描かれ、空想の世界とはいえナノマシンのイメージを人々に身近なものとしました。近年ではナノ科学・ナノテクの進歩によって、ナノマシンの実現可能性が急速に高まっています。
本書は、ナノマシンの実現に向けて行われている研究の現状を整理して、最新の成果を紹介します。具体的には、細胞内で物質運搬などを担う天然の「生体分子モーター」、その働きを模倣した人工的な分子マシン、触媒反応から推進力を得るナノマシン、磁力・光・超音波など外部の力によって駆動するナノマシンなどが代表的なアプローチとして取り上げられます。薬剤を患部に正確に到達させるドラッグデリバリーなどの分野への応用可能性と、今後の課題も示されます。図版を豊富に取り入れることで、さまざまなナノマシンの仕組みがビジュアルに示され、読者の理解を助けます。
当分野の研究に携わる大学院生レベルの読者を想定して書かれた本書は、本文150ページ弱とコンパクトで読みやすい一方、レファレンスが充実し、研究を深めるための文献ガイドとしても役立ちます。
本書を執筆したカリフォルニア大学サンディエゴ校のJoseph Wang教授は、今年2013年に物理化学の栄誉ある賞Spiers Memorial Awardに輝いた当分野の有力な研究者です。当ブログの記事「人の汗から発電するバイオ燃料電池」でも、Wang教授の最近の成果をご紹介しています。
本書の目次 → さらに詳しい目次はこちら
- Fundamentals – Small-Scale Propulsion
- Motion of Natural Nanoswimmers
- Molecular Machines
- Self-Propelling Chemically Powered Devices
- Externally Powered Nanomotors – Fuel-Free Nanoswimmers
- Applications of Nano/Microscale Motors
- Conclusions and Future Prospects