今から50年前のAngewandte Chemieを振り返ると - R. Huisgenが「ヒュスゲン環化付加反応」の総説を発表、約40年後に「クリックケミストリー」で脚光

Angewandte Chemie International Edition1962年に創刊されたAngewandte Chemie International Edition (ACIE)では(独語版Angewandte Chemieは1888年創刊)、毎月“50 Years Ago …”と題した回顧記事を連載しています。この記事は、創刊直後だった50年前の同誌で発表された論文をいくつかピックアップして紹介するもので、往時の化学界の様子が垣間見えてなかなか面白く読めます。最新号(Volume 52, Issue 39)では、ミュンヘン大学のRolf Huisgenが1963年10月号で発表した、後に「ヒュスゲン環化付加反応」として広く知られるようになるアジドとアルキンから1,2,3-トリアゾールを合成する反応についての総説を取り上げています。

(本文を読むにはアクセス権が必要です)

1950年代後半にこの反応の着想を得たHuisgenは、彼のラボで精力的に研究を進めた成果を、1963年にこの総説にまとめて報告しました。その後40年近くを経た2001年に、Barry Sharpless(2001年ノーベル化学賞受賞)はこの反応が銅触媒によって飛躍的に加速することを発見し、それによってヒュスゲン環化付加反応は「クリックケミストリー」の代表的な反応として一躍脚光を浴びることになりました。その結果、Huisgenのこの総説は、多くの論文で頻繁に引用され、ACIEの中でも屈指の有名論文となっています。

■ 参考リンク: Helvetica Chimica Acta誌に掲載された、Huisgenの業績に関する詳細な総説 ⇒ Rüchardt, C., Sauer, J. and Sustmann, R. (2005), Rolf Huisgen: Some Highlights of His Contributions to Organic Chemistry. HCA, 88: 1154–1184. doi: 10.1002/hlca.200590098icon_free(無料公開)

カテゴリー: ジャーナル, 論文 パーマリンク