ホウ素-酸素の多重結合を有するオキソボリル基がクラスター構造を形成する例はこれまで知られていませんでしたが、東京工業大学大学院理工学研究科・鈴木寛治教授らは、オキソボリル基が3つのルテニウム原子に架橋した「オキソボリル架橋遷移金属クラスター」の合成に初めて成功し、その成果をAngewandte Chemie International Edition (ACIE) で報告しました。
- 論文 ⇒ Kaneko, T., Takao, T. and Suzuki, H. (2013), A Triruthenium Complex Capped by a Triply Bridging Oxoboryl Ligand . Angew. Chem. Int. Ed.. doi: 10.1002/anie.201306531
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これまでに知られている多くのホウ素化合物では、ホウ素と他の元素は単結合(一重結合)を形成しています。ホウ素の新しい結合の可能性として、ホウ素-酸素の多重結合が注目されてきましたが、この結合は不安定なため合成や単離が困難でした。2010年にドイツのHolger Braunschweig教授らがホウ素-酸素三重結合を持つ白金-オキソボリル単核錯体の合成に成功しましたが、合成例はこの1例のみで、複数の金属原子を核に持つオキソボリル錯体はこれまで報告されていませんでした。
今回鈴木教授らは、同研究室で独自に開発したルテニウムをヒドリド(水素)で架橋した「ルテニウムヒドリドクラスター」を、ホウ素-水素結合を持つ「ボリレン錯体」に変換した後、水と反応させることにより、オキソボリル配位子が三つのルテニウム原子間に架橋した「三重架橋オキソボリル基」を持つ錯体を安定的に合成することに成功しました。今回の成果により、今後、オキソボリル基の性質の解明や、新規な反応の開発につながることが期待されます。
- 東工大プレスリリース: ホウ素-酸素多重結合を持つ金属クラスター合成に成功 (2013年10月3日付)