ニュージーランド・カンタベリー大学のAntony J. Fairbanks教授を中心とするグループは、糖尿病治療薬プラムリンチド(商品名Symlin)のグリコシル化に初めて成功したことをChemistry - A European Journalで報告しました。。使用にあたって制約の多いプラムリンチドの性質改善につながることが期待されます。
-  論文  ⇒ Tomabechi, Y., Krippner, G., Rendle, P. M., Squire, M. A. and Fairbanks, A. J. (2013), Glycosylation of Pramlintide: Synthetic Glycopeptides that Display In Vitro and In Vivo Activities as Amylin Receptor Agonists. Chem. Eur. J.. doi: 10.1002/chem.201303303
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プラムリンチドは、インスリンとともに膵臓のβ細胞で産生されるペプチドホルモンであるアミリンを改変したアナログ製剤です。プラムリンチドは、糖尿病患者にインスリンとともに投与することで血糖上昇を抑える働きが認められ、2005年にFDAによって糖尿病治療薬として認可されました。しかしプラムリンチドには、沈殿しやすい、血漿中半減期が短い(作用時間が短い)といった欠点があり、インスリンと分けて注射する必要があるなど使用上の制約となっています。
Fairbanks教授らは、インスリン・GLP-1など他の糖尿病用ペプチド製剤で、分子に糖鎖を付加するグリコシル化によって薬物動態的性質の改善が見られることに着目し、これまで報告例のなかったプラムリンチドのグリコシル化に初めて成功しました。in vitroおよびラットへのin vivo実験で、グリコシル化されたプラムリンチド類似体が、アミリン受容体作動薬(アゴニスト)としての作用および血糖上昇抑制作用を備えることが確認されました。同教授らのグループでは、グリコシル化がプラムリンチドの薬物動態的性質などにどのような影響を与えるか、さらに詳しく研究を進めています。
- 化学ニュースサイトChemistry Viewsによる解説記事: Medicine Can be Sweet (Ocober 18, 2013, Chemistry Views)
 
								

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